? マーケティングの基本:株/新選組
株新選組
株投資のエンターテイメントサイト! 

2004年11月21日

マーケティングの基本

ヒジカタ

久々だが、ヒジカタのMBA講座の三回目は、「マーケティング」の基礎の基礎について述べたいと思う。

まず、マーケティングとは何か?と聞かれて皆さんは何をイメージするだろう?
営業?、販売促進?、市場調査?、広告宣伝?いろんな答えが返ってくるだろう。

MBA的にいうと、マーケティングは「売れるしくみを作ること」と説明される。
この定義においては、営業とか市場調査はマーケティングを構成するひとつの方法論である。極論をいえば、営業をしなくても、ものが売れるしくみがもし作れるなら、それは究極のマーケティングといえるかもしれない。

さてマーケティング、すなわち”売れるしくみ”を構築するための戦略立案には、下図のような流れがある。

マーケティング戦略フロー

このフローを用いて、一例として「高齢者向け携帯電話」という製品のマーケティングを立案してみよう。

■市場分析:
環境分析といいかえても良いが、市場環境(トレンド、将来性、ユーザーニーズ、競合等)を分析することで、ビジネス参入の機会を見極める(発見する)ことである。携帯電話を例にとると、これからは高齢者社会で60歳以上の人口は爆発的に増える。高齢者は若者が使うような携帯電話は使いこなせない。高齢者向けに特化した携帯電話には大きなニーズがあるはずだという仮説を立て、それを市場調査などで検証し、他社の動向なども把握し、そして自社の市場参入の機会(ビジネスチャンス)を見出す。マーケティングにおいて最も上流に位置するフェーズである。

■セグメンテーション/ターゲティング:
自社の参入機会が確認できたら、次は市場の細分化(セグメンテーション)が必要である。携帯電話のような既に成長した市場では、全ての顧客を相手にするのは無理がある。
携帯電話の例でいうと、まず携帯電話市場という大きな市場から、顧客の年齢でセグメントし、「60歳以上の高齢者」という層にターゲットを絞り込む(ターゲティング)。さらに細分化するなら、「現在、携帯電話を使っていない60歳以上の男性」とか、「向上心を持ち、できれば携帯電話を使ってみたいと思っている60歳以上の夫婦」という風に絞り込んでいく。ここで行なったセグメンテーションとターゲティングは次に述べるポジショニングと密接に関わってくる。

■ポジショニング:
マーケティングで最も大事だと言われるのが「ポジショニング」である。差別化という言葉がわかりやすいかもしれない。”顧客にその製品を選んでもらうための、他には無い価値”を提供することがポジショニングである。ポジショニングがうまく取れていないと、どんなに良い製品を作っても売るのは難しい。
携帯電話の例でいうと、若者に売れている携帯電話と明らかに差がないと、その製品は売れないし、そもそも売る意味がない。

ポジショニングを行なうには、下図のような「ポジショニングマップ」がよく使われる。

<携帯電話のポジショニングマップ>
keitai.jpg

この図では、「画面の見易さ」と「操作が簡単」であることをキーに、高齢者向け携帯電話をポジショニングした例である。
縦軸、横軸には、セグメンテーションで設定したターゲット顧客のニーズや趣向に訴えながら、明らかに「他と違う」と認めてもらえるような要素を設定する必要がある。つまり、他の製品とマップ上でかけ離れている事が重要である。ポジショニングマップで普通の携帯と同じような位置にあれば、わざわざ高齢者向け携帯を売る意味がないし、売れない。

■マーケティングミックス(4P):
セグメンテーション、ポジショニングが出来たら、そこからはじめて製品開発や価格設定、販売拠点の整備、広告宣伝というフェーズになる。いわゆる4P(Product、Price、Place、Promotion)である。素晴らしい製品であっても高すぎては売れないし、売る場所がなければ売れない、誰にも知られなければ売れない。4つのPをいかにバランスよく展開できるかが成否を分けるのである。


非常にざっくりと書いてきたが、この講座で是非ご理解いただきたいのは、マーケティングには、上記の述べた戦略立案フロー全体の整合性が非常に重要であるということだ。
製品が売れないとき、得てして「製品が悪い」とか「価格が高すぎる」という個々の問題、特に下流の要因が槍玉にあがることが多いが、実は上流の「セグメンテーション」や「ポジショニング」がまずいケースや、個々のフェーズは正しくても全体のフローの整合性が全く取れていないということがよくある。そこをいかに発見し修正することがマーケティングの本質であるといえる。

皆さんの勤務(または経営)する会社で、うまくいっていない製品やサービスがあれば、戦略立案のフローのどこに問題があるのか、分析してみてはいかがだろう?



[HOME]